RGM-79Q GM QUEL CUSTOM

(「ゆきさきファミリー商店」グリプス戦役コンペ出展作品)


 ジム・クゥエル(改) 機体解説

『デラーズ紛争』終結後に結成されたティターンズにおいて最初の配備機体となったのがRGM-79Q『ジム・クゥエル』であった。
同機体は一年戦争終結後に開発されたRGM-79N『ジム・カスタム』の設計を改めたものであり、
ティターンズの主任務となるべき対人作戦用の装備を増強したのが特色となっている。
この系統の機体はガンダム系には及ばないとはいえ量産機としては高水準の性能を持ち、
その分だけコストも上昇していたが、ティターンズに向けて特権的に優先配備されることになったのである。

その後連邦軍(ティターンズ)では『ハイザック』、『ジムII』などの新機種が登場し、年度を経るにつれてMSの配備状況は変化してゆく。
U.C.0080年代も半ばを過ぎてなお、ジム・クゥエルは高級・高性能量産機としての地位を確保していたものの、
拡大化するティターンズの中で機材の十全な確保は予算の面からも苦しくなってきた。
また基本性能において優れるとはいえ、戦後まもなくの設計思想に拠っているためそれ以上の拡張性に乏しいこともあり、
新型機への機種転換が進むにつれてジム・クゥエルのティターンズ全軍における配備率は相対的に低下し、
乗り慣れた、或いは愛着を持つ熟練パイロットが運用するのみとなっていった。
こうして、U.C.0087年3月に『グリプス戦役』が本格的に勃発した時点においては、
ティターンズの主力機はほぼ9割方が連邦本軍との融通の付けやすいハイザックやジムIIで占められるに至った。
さらに戦争中盤にアナハイム・エレクトロニクスから『マラサイ』の供与を受けることになると、
第二世代MSとしてひとまずの完成を見たこの機体はそれまでのいかなる量産機をも凌駕しており、一気に主力MSの地位を獲得する。
この機体の導入によりジム・クゥエルはその主力機としての使命を終え、
同機体を配備する全MSスコードロン(戦隊)がマラサイへの機種転換を行ったのだった。
実戦を退いた後はパイロットの初期訓練、実験・標的機や作業機として余生を送り、順次廃棄解体されていったという。

しかし、それでもなおこのジム・クゥエルを駆り続けた一人の男がいた。
以下に記すのは、ある意味では極めて『ティターンズ的』なエピソードである。

ティターンズの主力巡洋艦『アレキサンドリア』級の一艦『アル・ギザ』は、同組織が設立した当初からの歴戦艦であり、
同艦を母艦とするMS隊も実戦経験豊富な熟練パイロットによって構成されていた。
その戦隊長はアルファ・A・ベイト中佐であり、麾下の二個MS小隊長はベルナルド・モンシア少佐およびチャップ・アデル少佐が務めていた。
なお、隊の構成に比して指揮官の階級が軒並み高いのは、連邦本軍に対して階級において優越を持っていることと、
同艦がティターンズ・コンペイトウ方面駐留軍の旗艦として上級指揮権を有しているためである。
彼らはデラーズ紛争、ひいては一年戦争からチームを組んでいた最上級の熟練パイロットであり、精鋭中の精鋭としてその力をいかんなく発揮していた。
そして今回のエピソードの主役となるのはベルナルド・モンシア少佐である。彼は自他共に認める生粋の反ジオン主義者であり、
卓越した操縦技術とも相まってある意味ではティターンズの鑑とでもいうべき士官だった。
一方で人格的にはやや問題があり、譴責沙汰を起こしたこともしばしばあったが、二人の同僚がブレーキ役を果たすことで辛うじてバランスを保っていた。
何より彼らのチームワークは得難いものであり、戦隊レベルで呼吸のあった行動をこなすことでエゥーゴからは恐れられていたのである。

そしてもう一つ、彼を有名にしたのが偏執的なまでの公国系MSへの嫌悪である。
それは単に軍歴からくるものだけではなく多分に彼の気質も影響を与えていると見られていたが、
彼は徹底的に公国系MSへの機種転換を拒否してジム・クゥエルを運用し続けた。
多少の無茶がまかり通るのは良くも悪くもティターンズならではだが、実際彼にはそう強弁するに足るだけの腕前を備えていたのであり、
ジム・クゥエルを駆って新型機との模擬戦、そして実戦において互角かそれ以上の戦績を積み重ねていたのである。
彼がハイザックへの機種転換を拒んだのは想像するまでもないことだが、
ジム・クゥエルに比してコストの点においてのみ勝るだけのジムII(
※1)も選択肢には上らなかった。
連邦本軍から少数がスライド運用されたガルバルディβはもちろんのことマラサイに関しても同様であり、
カタログデータでは完全にマラサイが上回っていたにもかかわらず、模擬戦では機体運用を駆使してなお優位を保っていた。
戦争末期に『バーザム(
※2)』が配備された際には「一つ目が気に食わない」との理由でまたも却下し、
その反応を興味深く見守っていた周囲の人々は彼のこだわりように半ば呆れかえるほどであったという。

しかし戦況が徐々にティターンズ不利に傾くにつれ、さしもの彼の腕前を持ってしても劣勢は否めなくなってくる。
ここにおいてようやく、彼は機体を乗り換える…のではなく改装を施すことにしたのである。
根拠地であるコンペイトウ(旧ソロモン)にはMS工廠の設備が整っており、バーザムの余剰パーツを使用して改修が行われた。
まず胴体内部を大幅に改装し、リニアシートと球形コクピットを装備して『第二世代MS』仕様に完全準拠。
同時にメインジェネレーターをバーザムと同型のものに換装し、
グリプス戦役後期における広義の連邦系量産型MSの標準値であるジェネレーター出力1,600kw台を達成した。
これは従来より約20%の上昇であり、ネモ、ネロ、バーザム、ヌーベルジムIIIらと同等値に並んだのである。
そしてバックパックをガンダムMk-II(バーザム)のものに換装し、機動力を増強。
ジム・クゥエルはNT-1を祖とする『オーガスタ系』MSの流れを汲んでおり、相対的に余裕のある設計となっていた。
一方で技術革新により量産機レベルにおいてもジェネレーターの容積あたりの出力が上昇し、
従来とさして変わらないスペースでも総出力の向上を達成できたことも相まって、
外形をほとんど損なうことなくさも以前からそうであったかの様に換装は成功したのだった。

しかし機体そのものがムーバブル・フレームを基本的に使用しておらず(肘関節はその前段階にまで到達した機構だが)、
またアビオニクスもそれに準じたものであるために本質的には次世代MSにワンランク劣るものとなっているのは否めない。
とはいえ機体が本来持っていたポテンシャルを食い潰してピーキーな仕上がりとなったものの、
モンシアの腕を持ってすれば実戦レベルにおいて再び新鋭機と渡り合えるだけの力を手に入れたのである。
かくしてこの機体は非公式に「ジム・クゥエル改」と呼称されるようになった。
あくまで
現地改修機のため制式ナンバーに変更はなかったが、外見はさほど差はないまでも実質的には別の機体である。
彼はこの機体を駆って、混沌の度合いを増した戦場へと赴くのだった…

(注記)
※1:ジムIIは基本的に無印ジム −現行のMS開発系統図を考慮に入れるならばジム改と考えても良い− のバージョンアップという位置づけなので、
あくまでも一般兵用にトータルバランスは低めに抑えられていると仮定して、機体そのものの性能はクゥエルが勝ると考えてみた。

※2:ここでいう『バーザム』とはΖガンダムのアニメに登場した異形の機体ではなく、カトキハジメによってデザインされた
通称『リファインバーザム』を指す。こちらはガンダムMk-IIからの発展系であることがより実感されるデザインであり、
共通するユニットが多くバックパックや武装も同じものを使用している。

 マスターグレード改造「RGM-79Q ジム・クゥエル(改)」

【使用キット】
メイン:マスターグレード『ジム・クゥエル』
パーツ流用:同『ガンダムMk-II』、『ガンダムVer.Ka』、『ジム改』

 【使用色】
本体ブルー:ガンダムカラーブルー22、23
関節:Mr.カラー301(グレーFS36081)
コクピットハッチ、スラスター開口部:ガンダムカラーレッド1
胸部ダクト:ガンダムカラーイエロー1
ビームライフル:ガンダムカラーファントムグレー、グレー13
メインカメラ:クリアーオレンジ
サブカメラ、センサー:ガンダムカラーグリーン2

 【製作】
当初は単にジム・クゥエルをストレート組みしてみようと思っていたが、ひねりが足りないのでミキシングビルドに挑戦。
『ジム・クゥエルをグリプス戦役末期まで運用するには』というコンセプト(?)のもと、いかにお手軽にアレンジするかを模索してみた。
そもそもグリプス戦役末期までジム・クゥエルに搭乗し続けるという酔狂なパイロットがいるのかと思ったら、
モンシアという適任がいた。MS操縦の腕前は確かだから、多少の性能差ははね返すだろう。
ジオン嫌いだからハイザックやマラサイにも乗らない。バーザムは一つ目でアウト。
しかしクゥエルといえども旧式化は避けられず、何らかのパワーアップが必要となる。
とはいえ、あまりに大改造となっては「じゃあバーザムの頭だけジムと取り替えればいいじゃない」ということになってしまう。
だもので、極力クゥエルの外観を損なわずにスペック的なパワーアップを、しかも現地処理による規格外メカということに。
しかし切った貼ったまでは手が回らないので、パーツ(ブロック)ごとに組み換えるということでガンダムMk-IIからの流用に決定。

といっても適当にパーツを取り替えて無意味なので、バックパックを交換してみた。
ジェネレーターを積み替えたのならば胴体も何らかの変更があった方がそれっぽいのだけれどそのまま。
もともと余裕がある設計なのでうまく収まった、ということでごまかしておく。
これだけじゃ寂しいのでビームライフルも交換。シールドは、Mk-IIのはラッチ部分が妙に分厚くて不自然なので
(他にも、設定上のパーツ供給源であるバーザムはMk-IIのシールドまでは流用していないと判断したことにもよる)
ジャンクパーツで買ってきたジム改のものを使用。内側にビームライフルのエネルギーパックを付けたがうまく収まった。

もう一つ今回の強化案とは直接関係はないのだけれど、Ver.Kaガンダムの反り返った爪先を移植してみた。
以前から一度試してみたいと思っていて、ジム・カスタム用に確保してあったパーツから足首以下一式を強奪。
とりあえず、くるぶしの「マルイチ」部分は斜めの仕切りが前上がりになっていて、ガンダムやジム改とは逆。
まずパーツを逆さにして左右を入れ替え、アンクルガードとの接合部分を切り取ったりしながら位置を調整してゆく。
ここまでは順調に進んだのだけれど、いざ足首とスネのフレームを繋げてみると、スネの裾内側に来る部分が干渉してしまう。
現物合わせで大きく削り込んでみたが、可動のクリアランスはほとんどない。
 【塗装とマーキング】
標準的なティターンズカラーということで、ガンダムMk-IIの塗装に準拠してみた。
ただし、関節はニュートラル系のグレーに変更。
マーキングは、右肩とシールドにティターンズの徽章をあしらい、左肩と右膝、シールドに機番「01」を配した。
またジム改(赤)から『不死身の第四小隊』のエンブレムを流用。実際には一年戦争当時の部隊名だが、
モンシアがパーソナルマーキングとしてその後も使い続けた、という設定にしてみた。
もう一つ、右胸部ダクト上にモンシアの名前を入れてある。中央にはお約束の「GM」のロゴ(手書き)。
『アル・ギザ』搭載機であることを示す符号がほしかったところだけど、妙案が浮かばず保留。
艦名の略称で「AG」にするとアーガマと被ってしまうのだが取り越し苦労か?

どうにかこうにか作り上げてみると、何とも地味な改装になってしまった。
「あれ、元々こういう機体ってなかったっけ?」というほどの馴染み様… 喜んで良いのやらどうやら?
ところで「ジム・クゥエルカスタム」と呼ぶと何だか間抜けな感じがしますね(-_-;)


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